ディスクブレーキのロードバイクは重い。
リムブレーキのバイクに比べるとそう感じる事がありますよね。
その重さの一因となっているのが、油圧のブレーキシステム。
そこを改善したくとも基本的にはグレードを上げるくらいの選択肢しかありませんでした。
しかし、ローラー台で有名なグロータックがそこに選択肢を追加してくれる製品Equalディスクブレーキキャリパーを2022年に発表しました。
Equalディスクブレーキキャリパーは、ワイヤー引きの機械式ディスクブレーキながら、油圧式ディスクブレーキに勝るとも劣らない制動力とコントロール性を持つと好評なようです。
このEQUALブレーキキャリパーを使うには、STIレバーはワイヤーでブレーキを引くタイプ、すなわちリムブレーキ用のSTIレバーを使うことになります。
一般的にリムブレーキ用のSTIレバーは、油圧ブレーキ用のSTIレバーに比べ、ブレーキオイル用のリザーブタンクが無い分軽量。
となると、ロードバイク自体は軽量に組めたりするのだろうか!?
と、気になったため調べてみました。
Equal機械式ディスクブレーキキャリパーを使えば、油圧式ディスクブレーキのロードバイクより軽量に組めるのかどうか。
1、必要な変速及びブレーキ用の組み合わせと重量
今回はシマノのアルテグラグレードで組み合わせを考えて、次の順でパーツと重量と見てゆきます。
① 油圧ディスクブレーキ+Di2
② 機械式ディスクブレーキ+Di2
③ 油圧ディスクブレーキ+機械式変速
④ 機械式ディスクブレーキ+機械式変速
①油圧ディスクブレーキ+Di2(R8170 Di2 12SPEED)
最初にR8100のスタンダードな構成で必要パーツと重量を見てゆきます。
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型番 |
重量(g) |
STIレバー(左右ペア) |
ST-R8170 |
391 |
フロントディレイラー |
FD-R8150 |
110 |
リアディレイラー |
RD-R8170 |
262 |
クランクセット(52/36) |
FC-R8100 |
711 |
スプロケット(11-30) |
CS-R8100 |
291 |
チェーン |
CN-M8100 |
252 |
ブレーキキャリパー(前後ペア) |
BR-8170 |
282 |
重量合計 |
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2299 |
通常のR8100 Di2で2×12速、そして油圧ディスクブレーキ仕様で、最も標準的ですがコンポネート一式で30万円ほどするので高価です。
重量は変速系とブレーキの主なパーツで2299gとなりました。
②機械式ディスクブレーキ+Di2(R8150 Di2 12SPEED + EQUALブレーキキャリパー)
リムブレーキ用のST-R8150とグロータック EQUALブレーキキャリパーを使用した時のパーツの場合。
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型番 |
重量(g) |
STIレバー(左右ペア) |
ST-R8150 |
295 |
フロントディレイラー |
FD-R8150 |
110 |
リアディレイラー |
RD-R8170 |
262 |
クランクセット(52/36) |
FC-R8100 |
711 |
スプロケット(11-30) |
CS-R8100 |
291 |
チェーン |
CN-M8100 |
252 |
ブレーキキャリパー(前後ペア) |
EQUAL |
272 |
重量合計 |
|
2193 |
シマノでは想定していない使い方でしょうが、ブレーキキャリパーを機械式の社外品。
変速系とブレーキのパーツ合計で2193g。STIレバーが軽量です。
③油圧ディスクブレーキ+機械式変速(R8020 11速)
機械式変速は12速はシマノではありません。
そのためアルテグラではR8000シリーズとなり、その油圧ディスクブレーキモデルではシフトレバーの型番がST-R8020 となります。
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型番 |
重量(g) |
STIレバー(左右ペア) |
ST-R8020 |
554 |
フロントディレイラー |
FD-R8000 |
92 |
リアディレイラー |
RD-R8000 |
200 |
クランクセット(52/36) |
FC-R8000 |
681 |
スプロケット(11-30) |
CS-R8000 |
269 |
チェーン |
CN-HG701 |
257 |
ブレーキキャリパー(前後ペア) |
BR-8070 |
265 |
重量合計 |
|
2325 |
合計で2325g。
STIレバーの重量があり全体的に重い印象です。
④機械式ディスクブレーキ+機械式変速(R8000 11速)
機械式変速でリムブレーキ用で最も馴染みのあるのSTIレバーのST-R8000を使い、グロータック EQUALブレーキキャリパーを使用した時のパーツの場合。
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型番 |
重量(g) |
STIレバー(左右ペア) |
ST-R8000 |
436 |
フロントディレイラー |
FD-R8000 |
92 |
リアディレイラー |
RD-R8000 |
200 |
クランクセット(52/36) |
FC-R8000 |
681 |
スプロケット(11-30) |
CS-R8000 |
269 |
チェーン |
CN-HG701 |
257 |
ブレーキキャリパー(前後ペア) |
EQUAL |
272 |
重量合計 |
|
2207 |
重量合計は2207gとなかな軽量。
リムブレーキ車のパーツをディスクブレーキ車に流用するパターンでしょうか。
2、パーツ重量にブレーキホースやケーブルを加味した重量
前項をまとめると
① 油圧ディスクブレーキ+Di2 2299g
② 機械式ディスクブレーキ+Di2 2193g
③ 油圧ディスクブレーキ+機械式変速 2325g
④ 機械式ディスクブレーキ+機械式変速 2207g
という重量です。
ここまでだと、①と③の油圧ディスクが重くなるという結果ですが、変速やブレーキに必要なパーツは他にもあります。
Di2ならバッテリーや配線、
油圧ディスクならブレーキホース類、
機械式変速と機械式ディスクならワイヤー類、
が必要ですね。
これらの重さを把握するためには、実際に取り外したワイヤーなどの重量を測れば正確なのですが、そういう訳にもいかないので、家にある半端なワイヤーやホース、調べた情報などを元にして大まかな重量を出してみました。
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①R8170 |
②R8150 +EQUAL |
③R8020 |
④R8000 +EQUAL |
変速及びブレーキのパーツ合計重量 |
2299 |
2193 |
2353 |
2207 |
Di2用バッテリー |
53 |
53 |
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Di2ワイヤー |
30 |
50 |
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ブレーキホース類及びフルード |
78 |
|
78 |
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シフトワイヤー類 |
|
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52 |
52 |
ブレーキワイヤー類 |
|
157 |
|
157 |
合計重量(g) |
2460 |
2453 |
2483 |
2416 |
EQAULを使用するとブレーキワイヤーがフルアウターとなるため重量が嵩んでいます。
また②のR8150 +EQAULではSTIがワイヤレスでないため、Di2ワイヤーと場合によってはジャンクションが必要になるため若干重量をプラスしています。
結果としては④のR8000+EQUALが最も軽量となりました。
重いと思われた③R8020と最新の①R8170の差は20gほど。
②R8150+EQUALとの差もほどんどありません。
思ったほど重量の差は出ない結果となりましたが、③と④の差が最も大きく、70gほど重量差が出ているので、軽量なロードバイクを組むには多少考慮しても良い重さではあります。
また、リムブレーキのロードバイクで使っていた機材を利用し組む事が、軽量性に対しては決してネガティブにはならず、むしろポジティブになるという事は分かりました。
ワイヤー類はシマノの一般的な物で計算しましたが、軽量なワイヤー類があれば、もう少し軽量さを稼げるかもしれません。
また多少、お金はかかりますが、④のパターンでSTIレバーをデュラエースに変えるとST-R9100の重量がペアで372gなので50gほど軽量になります。
このように部分部分でデュラエースにすれば、Di2の場合ほどお金をかけずにより軽量化できるので、ヒルクライムバイクを組みたいのであればEQUALブレーキキャリパーを使ってみるのも面白いでしょう。
注意点としてはEQUALブレーキキャリパーは機械式ディスクブレーキです。
メンテナンスが油圧ディスクに比べ容易で、ブレーキ性能も以前の機械式ディスクブレーキより軽くレバーを引けるという利点はありますが、基本的なブレーキ性能自体は油圧ディスクの方に軍配が上がるかもしれません。
実際に使用している人の話を聞くと、そういった声も聞かれました。
しかし、かなりの人がEQUALブレーキキャリパーを高く評価しているのも事実。
何より、発展途上のディスクブレーキロードバイクの世界を広げてくれる素晴らしい製品だと思います。
また、「EQUAL」はブレーキキャリパーの製品名ではなく、株式会社グロータックのブランドの一つであり、今後カーボンリム(発売済)、ハブ、ペダル、レバーとロードバイクの幅を広げてくれる製品をリリースしてゆくとの事。
非常に楽しみです。
・・・
独り言
リムブレーキ用のデュラのSTIが余っているんだよな
EQUALのブレーキ買って組んでみたい衝動にかられるわー。