前回に引き続き2024年に発売されたホイールを紹介していきます。
7 ENVE
SES3.4 NEW STRAIGHT SPOKE
リムハイト:フロント39mm、リア43mm
リム内幅:25mm リム外幅:32mm
前後セット重量:1380g
スポーク: 前後とも24本 2X ハブ:ENVEロードハブ
参考価格: 499,950円(税込)
SES6.7 NEW STRAIGHT SPOKE
リムハイト:フロント60mm、リア67mm
リム内幅:23mm リム外幅:フロント30mm、リア29mm
前後セット重量:1457g
スポーク: 前後とも24本 2X ハブ:ENVEロードハブ
参考価格: 499,950円(税込)
2024年にトリプルクラウンの偉業を成し遂げたタデイポガチャル選手の脚元を支えるのがエンビィのホイール。
ストレートスポークとフックレスリムを採用し現代のロードレースのトレンドに対応したホイールです。
その中からは2つのホイールをピックアップ。
1つ目はフロント39mm、リア43mmのリムハイトを持つSES3.4。
リム内幅が25mmと非常に広くロードのみならずグラベルも想定しています。
重量は1380gと正直言えばそれ程軽量ではありませんが、堅実な造りのオールラウンドホイールと言えるでしょう。
2つ目はフロント60mm、リア67mmの大迫力のリムハイトを持つSES6.7。
こちらはリム内幅が23mmと、比較的ロードレース寄りのホイールです。
そして重量は1457gとリムハイトの高さを考えると、非常に軽量です。
平均勾配の低めのヒルクライムなら、このホイールでも問題なく走れるレベルの軽量さ。
SES3.4 はリム重量が370gと378g。 SES6.7はリム重量は430gと449gとカタログ上なっており、SES6.7はもっと重い重量となりそうですが、リム重量の差ほど重くはありません。
SES3.4 はグラベルを想定して頑丈なスポーク、SES6.7はロードを想定した軽量なスポークを使用しているのかもしれません。
8 Lun
hyper 3.0 D33
リムハイト:フロント35mm、リア35mm
リム内幅:23mm リム外幅:28.4mm
前後セット重量:1276g
スポーク: スーパーワイドエアロスポーク、F20/R21
ハブ:セラミックベアリング搭載
参考価格: 268,000円(税込)
hyper 3.0 D45
リムハイト:フロント46mm、リア54mm
リム内幅:23mm リム外幅:28.4mm
前後セット重量:1367g
スポーク: スーパーワイドエアロスポーク、F20/R21
ハブ:セラミックベアリング搭載 参考価格: 268,000円(税込)
hyper 3.0 D67
リムハイト:フロント60mm、リア67mm
リム内幅:23mm リム外幅:28.3mm
前後セット重量:1483g
スポーク: スーパーワイドエアロスポーク、F20/R21
ハブ:セラミックベアリング搭載
参考価格: 268,000円(税込)
ロードバイクに乗っている人で知らない人は、もうほとんどいないのでは!?という程、メジャーになったLUN HYPER。
そのLUN HYPERも3代目となり、前作より軽量かつワイドリムと、より現代的なホイールに進化した物となりました。
全てのリムハイトのモデルで前世代より50〜70gの軽量化を実現しています。
D45に至っては、昨年発売されたMEGAと同等の重量に。
また、フリーハブのラチェットにはプラネタリアギアラチェットという新たに開発したラチェット、スポークはより幅広でエアロなスポークにしたり、フロントを2:1組の21本から左右2クロスの20本へ減らたりと細かいところで改良を加えています。
価格はこれまでのHYPERにより高価になっていますが、他社のハイエンドモデルと同等なスペックである事を考えれば、20万円台はそれほど高くないのかもしれません。
ちなみにリムブレーキモデルはありません。
Lún HYPER3 ディスクホイールセットwinspace.jp
9 ELITE Wheels
DRIVE HELIX 46D
リムハイト:フロント39-43mm、リア42-46mm
リム内幅:21mm
リム外幅:フロント31.8mm、リア30.8mm
前後セット重量:1335g
スポーク: エアロカーボンスポーク、F21/R24
ハブ:セラミックベアリング搭載 参考価格: 240,352円(為替により変動)
DRIVE HELIX 57D
リムハイト:フロント47-52mm、リア52-57mm
リム内幅:21mm
リム外幅:フロント31.8mm、リア30.8mm
前後セット重量:1420g
スポーク: エアロカーボンスポーク、F21/R24 ハブ:セラミックベアリング搭載
参考価格: 240,352円(為替により変動)
DRIVEシリーズで話題になったELITEの新作は、リムハイトが変化するウネウネリムのホイールのHELIX。
変形リムのパイオニア的なメーカーはZZIPですが、ZZIPが変形リムホイールを出した他メーカーとの訴訟でその先進性を否定されて以来、様々なメーカーが変形リムのホイールを発表しています。
このHELIXのリムは如何にもエアロダイナミクスに優れていそうで、丸みを帯びボリュームがありそうです。
それもそのはず。 リムの内幅は21mmとそれほど幅広ではありませんか、リムの外幅は30mmを超えており、しっかりと剛性のありそうなリムに見えます。
それもあってか、ホイールのセット重量はカーボンスポークを使用したホイールとしては、特別軽量ではないように思えます。
リムハイトを考えれば、充分軽量ではあるのですが。
グロス塗装されたリムのグラフィックにはラグジュアリー感があり、値段以上の高級感はなかなか所有欲をそそられそうですね。
使った事はないので、何とも言えないのですが、リムハイトの高さ以上のエアロ効果を感じられるとか言う話もあるので、一度試してみたいホイールです。
https://jp.elite-wheels.com/drive-helix-carbon-fiber-road-bike-wheels/
10 Nepest
MAUI 35、45、50
リムハイト:35mm、45mm、50mm
リム内幅:21mm リム外幅:28mm
前後セット重量: 1235g、1275g、1315g
スポーク: エアロカーボンスポーク、前後とも21、2:1組
ハブ:セラミックベアリング搭載 参考価格: 195,000円(税別)
中国の新興ブランドのNEPEST。 有名YouTuber達がインプレしており、知っている方も増えています。
カーボンスポーク、軽量リム、セラミックベアリングと、最近のトレンドをしっかり取り入れたホイールとなっており、リム幅はロード用のタイヤを想定したものとなっています。
スペックをやはり見るとその軽量性と価格に目が行きますね。
45mmハイトで1300g以下の重量。 50mmでも1315gと非常に軽量なのに、20万円を切る価格設定には驚かされます。
今年のサイクルモードでブースを出していて、中の人と少し話ができましたが、製品に対して非常に自信を持っているような感じでした。
日本でもプロモーションにも力を入れており、個人的には最も気になっているブランドかもしれません。
MAUI Wheels with NP Ceramic Hubswww.nepestsports.com
11 SCOPE CYCLING
ARTECH 2、4、6
リムハイト:22mm、45mm、65mm
リム内幅:23mm
リム外幅:31mm
前後セット重量: 965g、1120g、1244g
スポーク: エアロカーボンスポーク、F21/R24
ハブ:前後で約200gの超軽量ハブ。セラミックスピードのベアリングにアップチャージ可能
参考価格: 768,900円(税込)
オランダのホイールメーカーであるSCOPE CYCLING。
それほどメジャーではありませんが、以前から時々名前を目にするブランドで、イメージ的には質実剛健で、そんなに軽量ではないが頑丈なホイールなんだろうなぁと思っていました。
そんなメーカーから、かなりぶっ飛んだホイールセットが発表されました。
ARTECHというシリーズで最軽量の22mmハイトでは965gという1kg切りです。
ただ、個人的にディスクブレーキのロードバイクには少なくとも35mm以上のハイトが欲しいかな。
45mmハイトで1100g台前半のセット重量はチューブラーホイールも形無しの軽量さです。
ハブ重量が前後で200gってのは本当に凄い。
巨人の国オランダのメーカーなので、頑丈さも期待できるし。
エアロカーボンスポークやリム幅をみてもハイエンドホイールの最先端!といたホイール。
価格は…おいそれとは手が出せませんね。 実物を見てみたいです。
12 DT Swiss
ARC1100 DICUT DB 38
リムハイト:38mm
リム内幅:20mm
リム外幅:26mm
前後セット重量: 1299g
スポーク: DTエアロライトⅡおよびエアロコンプⅡ、前後輪とも左右2クロスの24本
ハブ:DT 180 セラミックベアリング搭載
参考価格: 451,000円(税別)
ホイールパーツの総合メーカーのDT SwissからはエアロホイールラインのARC1100 DICUT 38をピックアップ。
ドイツのTOUR MAGAZINEのテストで非常に高い空力性能を示し、最速ホイールとも噂されるのが、ARC1100 DICUT 62。
そのARCシリーズの最新作はオールラウンドに使える38mmハイトのエアロホイール。
重量は1299gとリムハイトを考えれば、超軽量とは言えないけれど、なかなかの軽量性。
スポークもDT SWISS の最新エアロスポークを採用。
38mmハイトながら他社の50mmハイト並の空力性能を持っているとか。
スポークの組み方は至って普通の左右2クロスで本数も24本と特徴はなく、スポーク数も少なくない。
であるのに他社より空力性能に秀でているのが面白いです。
13 HUNT
SUB50 LIMITLESS UD CARBON SPOKE DISC
リムハイト:49.5mm
リム内幅:23mm
リム外幅:フロント34mm、リア30mm
前後セット重量: 1380g
スポーク: エアロカーボンスポーク F18/R20
ハブ:セラミックスピードベアリング搭載
参考価格: 370,300円(為替により変動)
最後に紹介するのはHUNTのプレミアムホイールであるSUB50 LIMITLESS UD CARBON SPOKE DISC。
リム内幅が23mmとなり、タイヤは28C以上となり、フロントの方がリム外幅が大きいのは、最近のエアロホイールのトレンドに沿っていると言えます。
カーボンスポークを採用し、その本数は前後で38本とかなり少なめで、エアロダイナミクスに優れたホイール。
重量は1380gとそれほどカーボンスポーク採用のホイールとしてはそれほど軽量ではないように思えますが、リム高約50mmのホイールとしては、十分な軽量性と空力性能とハブの回転の良さで平坦でも山岳でも遅れは取る事はない万能ホイールと言えるでしょう。
HUNT SUB50 Limitless UD Carbon Spoke Disc Wheelsetwww.huntbikewheels.cc
最後に
ここ2、3数年の間にロードバイクのホイールは格段に進化しました。
ディスクブレーキの対応に始まり、
チューブレスリムの一般化
カーボンリムの形成精度と品質の向上
ワイドリム化
カーボンスポークの普及
思いつくまま挙げてみてもこれだけの事由があり、詳しい方ならまだまだ挙げれるかもしれません。
先鞭を付けたのはRovalのRapide CLXとAlpinist CLXでしょう。
チューブレス非対応でしたが、Rapideはフロント51mm、リア60mmのリムハイトで前後重量1400gほどの重量、Alpinist は33mmのハイトで1250gとその軽さとレースでの実績で、サイクリストを驚かせました。
発売から3年以上経ちますが、未だ人気のあるホイールです。
フレームでもVENGE前とVENGE後ではディスクロードの完成度が格段に向上したことを考えると、スペシャライズドの"Innovate or Die"(革新を、さもなくば死を)という社是はハッタリではありません。
その後、他のメーカーからも同等、またはそれ以上のスペックを持つホイールが続々と出てきてました。
そして2024年は遂にカンパニョーロのBORA WTOもモデルチェンジ。
スペックと共にその完成度も非常に期待できる物となっています。
円安の影響で価格もヤバいですが。
市場には重量も前後で1200g台と非常に軽いホイールが多々存在してきています。
しかし、玉石混交であるのも事実です。
ここ2年ほどのレースを振り返ってみれば、最近グランツールで活躍しているブランドがあります。
それはReserve、ENVE、DT Swiss といったブランドですが、それらのホイールの構成はどれも前後輪とも左右2クロスのスポーク24本のホイールなんですよね。
他社は2:1組などで工夫をしているのに、その3社の組み方は至ってシンプルです。
しかもフロントのスポーク数も24本と多めなので、空力的に不利になりそうですが、逆に空力で勝るデータもあるとか。
また、スポークもカーボンではなくてスチールスポークを使っており、重さもそこまでの軽量さはなかったりします。
それでも速くレースで実績を残しているのですから、ホイールというのは面白いです。
もちろんライダーの強さもありますが。